新型コロナウイルスの基礎知識① ウイルスと菌って何が違うの?

新型コロナウイルス その他

こんにちは。めぐです♪

はじめに、感染症について理解する上で重要な「ウイルスと菌の違い」について書きたいと思います。

感染症を引き起こす原因となるウイルスや菌には様々なものがあります。インフルエンザウイルス、風邪ウイルス、大腸菌、黄色ブドウ球菌、…日頃からニュースなどで耳にすることがあり、何となく名前は知っているものも多いと思いますが、「ウイルスと菌が違うもの」であるということを知っている人は、そんなに多くないと感じます。

ですが、「ウイルスと菌の違い」というのは実は非常に重要で、原因がウイルスなのか菌なのかによって、予防方法や治療方法が変わってきます。そこで、今回は「ウイルスと菌の違い」についてできるだけ分かりやすくまとめていきます。

細菌とウイルスの違い

*菌には細菌と真菌(カビ・キノコの仲間)がありますが、感染症を引き起こす菌の多くは細菌であるため今回は細菌に絞って説明します。

大きさの違い

一言で言ってしまうと、「細菌>>>ウイルス」です。細菌もウイルスも私たちの目には見えない非常に小さいものですが、大きさを比べるとウイルスは細菌よりはるかに小さいです。どれくらい小さいかというと、種類にもよりますが、細菌が一般的に数μm~数十μmであるのに対し、ウイルスは数十nm~数百nmで細菌の100~1000分の1の大きさです。

*1μm(マイクロメートル)は1mmの1000分の1、 nm(ナノメートル)はμ㎜の1000分の1

細かい数字を覚える必要はありません。重要なのは「ウイルスは細菌よりはるかに小さい」ということです。そのため、ウイルスは細菌より飛散しやすく、飛沫感染(咳やくしゃみ)・空気感染のリスクが大きくなります。

なお、細菌が全く飛沫感染・空気感染しない、ということではありません。また、飛沫感染・空気感染などの感染経路については「新型コロナウイルスの基礎知識② ウイルスの感染経路と感染力」で詳しく書いていきます。

基本的な構造の違い

細菌は細胞でできており、栄養さえあれば自分で増殖することができます。それに対し、ウイルスは遺伝子として働く核酸とタンパク質の殻から構成される粒子であり、単独では増殖することができません。 その違いにより、治療方法(抗生物質が効くか効かないか)に違いが出てきます。

細菌の構造

細菌は私たち人間の体と同じ、細胞でできています。

細菌は細胞でできている、というと少し語弊があるかもしれません。私たち人間がたくさんの細胞からできている「多細胞生物」であるのに対し、細菌は1つの細胞からなる「単細胞生物」です。

単純でものごとをあまり深く考えない人のことを「単細胞人間」と言ったりしますが、私たちヒトは多細胞生物であり、単細胞の人間はいませんので、この表現は生物学的には全くの間違いですね。

ウイルスの構造

ウイルスは細胞ではなく、遺伝子として働く核酸(DNA or RNA)とカプシドと呼ばれるタンパク質の殻から構成される粒子です。ウイルスによっては外側にエンベロープ*という膜を持つ種類もいます。

*エンベロープについては「新型コロナウイルス④ 手洗い・消毒は効果があるの?」参照

ウイルスは、増殖に必要なDNAやタンパク質を合成する装置を自分で持っていないため、ヒトの細胞に侵入(=感染)して、ヒトの細胞の持つ装置を勝手に借りて増殖します。

なかなかのちゃっかり者ですね。ウイルスのサイズが小さいのは、ヒトのものを借りる前提で、最小限のものしか持ち合わせていないから、とも言えます。

仲間内で旅行に行くとき、旅行本やドライヤーなどを自分は持ってこないで、人のものを借りる前提にとても身軽で現れる人がたまにいますが、ウイルスはそんな感じですね。

治療方法の違い

細菌は、栄養さえあれば自分で増殖して生きていくことができます。自分で増殖して生きられる、ということは、増殖に必要なDNAやタンパク質などを合成する機構(装置)を自分で持っている、ということです。そのため、この装置の機能を阻害することで細菌の増殖を抑えることができます。

この働きをするのが、抗生物質です。抗生物質は、細菌にのみ毒性を示し、人間には害がないように、細菌にしかない代謝経路を阻害するようなものが使われています。 すべての細菌に効く抗生物質はありませんが、細菌であればある程度共通して効果があります。そのため、細菌による感染症であれば、ほとんどのケースは抗生物質を投与することで治療できます。

一方、ウイルスはヒトの細胞が持つ装置を使って増殖するため、抗生物質が効きません。逆に、ウイルスに効くような薬を使うと、人間にも害が出てしまうことになります。

ウイルス治療には個別の抗ウイルス薬が用いられますが、抗ウイルス薬が見つかっているウイルスはまだそんなに多くはありません。それが、ウイルスの一番厄介なところだと思います。

しかし、ウイルスは細菌と違って自分で増殖することができないため、人間の体外では寿命が短く、勝手に増殖することはありません。

細菌は栄養があれば自分で増殖できるため、食品を放置しておくとその中で増殖していることがあります。しかし、食品は生きた細胞ではないため、食品中のウイルスは勝手に増殖することはありません。あるとしたら、ウイルスが付着した食品を食べ、体内で増殖した場合だけです。

ウイルスが流行すると、古い食べ物や長期間物置に保管しておいたものにもウイルスが増殖してないか心配して、せっせと捨てたり消毒をしている人を見かけます。細菌には効果がありますが、ウイルス対策の観点ではあまり意味があるとは言えませんね。

まとめ

  • ウイルスは細菌より小さく、飛沫感染・空気感染のリスクが大きい
  • 細菌は自分で増殖することができ、抗生物質が効くが、ウイルスはヒトの細胞内の機構を使って増殖するため、抗生物質が効かない。
  • ウイルスが、体外や食品中で勝手に増殖することはない。

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