わが子をかわいいと思えないのはなぜ? ―”育まれる”母性

子育て全般

こんにちは。めぐです♪

「自分の子どもなのにかわいいと思えない…」―そんな風に思った経験のあるお母さんは意外と多いのではないでしょうか?

NHKの某テレビ番組におけるアンケートでも、「わが子をかわいく思えない人」は25%*、「かつてかわいく思えないことがあった人」は30%*と、約60%の方が一度は子どもをかわいくないと思ったことがあるという結果が紹介されていました。

*大分前に見た番組のため数字はうろ覚えです。あしからず…。

そんなお母さんたちをさらに苦しめるのが、「母親なんだからわが子をかわいいと思うのは当たり前」という固定観念です。

わが子をいとおしいく思う気持ち―”母性”は、生まれつき備わっている母の本能と思っている人も多いと思います。

その固定観念のために多くのお母さんたちは、”わが子をかわいいと思えない”自分を責め、追い詰められていきます。

でも、本当にそうなのでしょうか?
母性とはだれにでも”生まれつき”備わっているものなのでしょうか?

今回はそんな母性の不思議についての科学的な知見をご紹介します。

育児拒否をするチンパンジー

人間に一番近い動物とされるチンパンジーですが、飼育環境下では約半数のチンパンジーで育児拒否が起こるといわれています。

生まれたわが子を認識できず、抱き上げることができなかったり、お乳をあげることができなかったりするため、生まれた赤ちゃんがそのまま亡くなってしまうケースも多いそうです。

一方、野生のチンパンジーでは、育児拒否はほぼ起こりません。

それはなぜか? ―研究者たちのたどり着いた答えは、「飼育環境下のチンパンジーは、群れで暮らす野生のチンパンジーのように、他のチンパンジーの出産や育児を見たり、触れたりする機会が少ないからではないか」というものでした。

つまり、「母性は生まれつき備わっているものではなく、経験の中で育まれるものである」と考えたのです。

経験によって育まれる”母性”

それでは、私たち人間ではどうなのでしょうか?
それを確かめる研究もおこなわれています。

出産経験のない20代の女性たちを対象におこなわれた実験では、参加者たちに3か月間、保育園で育児を体験してもらい、その前後の脳の変化について調べました。

その結果、育児を体験した後は、赤ちゃんに愛着を感じる場所や、泣き声を聞いたときに心配な気持ちを呼び起こす脳の場所の反応が強くなっていることがわかりました。

つまり、人間においても、母性はもともと女性の脳に備わっているものではなく、赤ちゃんに実際にふれ、育児を経験する中で育まれていくものだということが、研究の結果から示されました。

”共同養育”が母性を育てる

最新科学により、母性は生まれつきではなく経験によって育まれるものであることがわかりました。

それでは、わたしたち人類はどのようにして母性を育み、子育てをおこなってきたのでしょうか?

その答えは、人類本来の子育てである、”共同養育”にあります。

共同養育では、子育てを親だけがおこなうのではなく、同じコミュニティの中では自分の子も他人の子も区別せずに大人たちが協力して子育てをおこないます。

以前の記事でもご紹介しましたが、アフリカの”バカ族”という先住民族では、今もこの共同養育が引き継がれています。

バカ族では、村の女性たちが全員共同で漁をおこないます。

大人の女性たちが川で漁をしている間、赤ちゃんの面倒をみるのは村の女の子たちです。バカ族の女の子は、自分で立つ年頃になれば、自分より年下の子どもや赤ちゃんの面倒をみるのが当たり前なのだそうです。日本の子育てとはだいぶ違いますね。

バカ族の女の子たちは小さなころから赤ちゃんにふれ、育児を体験することで、母性が育まれていきます。共同養育は、”母性を育む”という大事な役割も担っているのです。

一方、現代の日本に生きる私たちでは、共同養育が消えつつあるため、自分が母になる前に赤ちゃんにふれたり育児を体験する機会がほとんどない人が多いと思います。

そのため、自身が出産し、わが子が生まれたときになって突然、まだ育まれていない”母性”をもとめられることになります。

これこそが、現代の母親たちが「わが子をかわいいと思えない」と思い悩む理由のひとつだと考えられるのです。

まとめ

  • 母性は生まれつき備わっているものではなく、赤ちゃんにふれ、育児を経験するなかで育まれていくものである。
  • 人間本来の子育てである”共同養育”では、小さなころから育児を体験する機会が多く、自然と母性が育まれていった。
  • 共同養育が消えつつある現代では、多くの女性が育児体験によって母性が育まれることのないまま、自身の出産・子育てを迎えるため、「わが子がかわいいと思えない自分には母性がないのでは…」と思い悩んでしまう。

わが子をかわいいと思えない…―そんな感情を抱いてしまうことは、お母さんにとってとてもつらいことだと思います。

ですが、今回お話ししたとおり、その感情はお母さん個人のせいではなく、私たちの脳のしくみと現代社会の現実とのギャップによるものなのです。

お母さんたちは決して、自分を責めたりしないでください。

「わが子をかわいいと思えない」と思い悩む、そのこと自体が、わが子に対する愛情をもっていることの何よりの証明だと私は思います。

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