子育て中、夫にイライラしてしまうのはなぜ? ―愛情ホルモン ”オキシトシン”の不思議

子育て全般

こんにちは。めぐです♪

あなたは子育て中、夫にイライラしてしまうことはありますか?

私はもともと、人に対する要求が低めで細かいことは気にしない性格なためか、子どもを産む前は夫にイライラするということがほとんどありませんでした。

周りの子持ちの女性たちが夫への不満や愚痴をこぼしまくっているのを聞きながら、
「なんでみんな、そこまで夫にイライラするんだろう?」
「長く一緒にいる夫婦なのに、仲がよくないなんてなんだか大変そうだなぁ」
と心の中ではどこか他人ごとのように感じていました。

そんな私も、子どもを産んだら変わりました。

「子どもが夜泣きしてもまったく起きず爆睡している」
「家事も育児も頼まれるまで手伝ってくれない」
「そもそも共働きなのに”手伝う”って何!?」
など、出てくる出てくる不満の数々。
最終的には、隣ですやすや寝ている夫を見るだけでなんだかイライラしてしまうことも。(夫よ、ゴメン)

私はとても不思議でした。
イライラしやすくなったのは、初めての育児で疲れていて自分に余裕がないせいかな?と思っていましたが、なんだかそれだけではないような気がするのです。

イライラする理由が分からない、ということはそれだけでストレスになります。
「なんでこんなに夫にイライラしてしまうんだろう…」と自己嫌悪に陥ってしまうからです。

今回は、そんな「なぜか夫にイライラしてしまう」というストレスを減らすため、「子育て中、夫にイライラしやすくなる理由」について科学してみたいと思います。

愛情ホルモン ”オキシトシン”とは?

重要な育児パートナーでもある夫に、なぜこんなにイライラを感じてしまうのか?
そこには、あるホルモンが深く関わっていることが最新の研究によりわかってきました。

そのホルモンとは、”オキシトシン”です。

最近では、”愛情ホルモン”や”幸せホルモン”などとも呼ばれ、何かと話題にのぼることも増えてきたので、名前を耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

実は、オキシトシン自体は目新しいホルモンではありません。
今から100年以上前に発見され、出産時に子宮の筋肉を収縮させて陣痛を促したり、乳腺の筋肉を収縮させて母乳の分泌を促したりするホルモンとして知られていました。

その作用から、出産時にお世話になることも多い陣痛促進剤にはこのオキシトシンがよく使われます。

また、オキシトシンの分泌は赤ちゃんにおっぱいを吸われる刺激によっても増加します。出産後、授乳していると子宮のあたりがキューと締め付けられるような痛みを感じた方も多いかと思いますが、それもこのオキシトシンの作用です。

私も長男を出産してすぐの授乳中にこの子宮の痛みを感じ、「私のからだの中で今、オキシトシンが働いているんだ…」と、生物としての自分に感動したことをよく覚えています。(相当変態ですね)

そんな”老舗”ホルモンのオキシトシンですが、近年、まったく別の働きがあることが分かってきました。

それが、”愛情ホルモン”としての働きです。

つがいを作り、子育てを夫婦共同で行う珍しい動物であるハタネズミを使った研究により、オキシトシンが、脳の「側坐核(そくざかく)*」とよばれる場所に働きかけ、つがいを作り、夫婦で子育てをするという愛着行動を作り出していることが明らかとなりました。

*側坐核とは、脳の中で報酬や快感、恐怖などの感情に重要な役割を果たすと考えられている場所で、雌雄がペアを作ったり、子育てをするという異性や子への愛着行動も司っています。

その後の多くの研究の成果により、人間においても、オキシトシンが親子間や夫婦間の愛情を深める働きをもつことが明らかとなりました。

”愛情ホルモン”が”攻撃ホルモン”に変わる?

愛情ホルモンとしての働きをもち、夫へのイライラとは無縁のように感じられるオキシトシンですが、最近の研究により、また新たな働きが見つかりました。

それは、”攻撃ホルモン”としての働きです。

一般的に、子育て中の動物は、子どもを守るために敵とみなした相手には非常に攻撃的になる習性があります。子育て中のクマには絶対に近づいてはいけない、というのは昔からよく言われていますし、私も修学旅行で奈良に行った際に子連れのシカに襲われかけた経験もあり、すんなり理解できます。

ネズミを使った研究で、人工的に、オキシトシンが脳で働かないようにした母ネズミでは、侵入者のネズミに対する攻撃性がなくなることが明らかとなり、子育て中の母ネズミの攻撃性は、オキシトシンによって生み出されていることがわかりました。

オキシトシンには、パートナーや子どもに対して愛情を感じさせる働きがある一方で、子どもに危害を加えたり、子育てを邪魔しようとする者に対しては攻撃性を増す、という働きがあるのです。

なんだか不思議な話ですが、現在、研究者たちの多くは、オキシトシンは感情を強める増幅器のような働きをしていると考えています。

子育て中のお母さんは”オキシトシン”が高い状態にある

最初に説明したように、オキシトシンの分泌は赤ちゃんにおっぱいを吸われる刺激によって増加します。 また、赤ちゃんとふれあったり、お世話をしているときも、オキシトシンの分泌が促されることがわかっています。

そのため、子育て中のお母さんの体内のオキシトシン濃度は常に高い状態にあります。

それゆえに、夫に対して不快感を感じたときや、思うように子育てを手伝ってくれないという不満を感じたとき、怒りや攻撃性が何倍にも増幅されてしまうのです。

これこそが、子育て中に夫にイライラを感じやすくなる理由だと考えられています。

お父さんはどう接したら良いの?

オキシトシンのしくみについて知ると、お父さんたちの中には「これから妻にどう接したら良いのか?」「オキシトシンって怖い…」と悩んだり、びくびくしてしまう方もいると思います。

ですが、オキシトシンはお母さんの攻撃性を増幅させてしまうだけの嫌なホルモンではありません。

最初に説明した通り、オキシトシンは”愛情ホルモン”でもあり、攻撃性だけでなく”愛情”も増幅します。

つまり、積極的に育児に協力したり、妻がしてほしいことに耳を傾けて実行したり、ねぎらいや優しい言葉をかけたりすれば、妻が夫に対して感じる愛情も何倍にも増幅されるのです。

オキシトシンのしくみや子育て中の妻の体の中で起こっている変化を知れば、妻に対する行動を少しだけでも変えることができるのではないでしょうか。

まとめ

  • ”愛情ホルモン”として知られるオキシトシンは、 パートナーや子どもに対して愛情を深める一方、子育てを邪魔しようとする相手に対して攻撃性を増幅する働きをする。
  • 子育て中のお母さんは、授乳や赤ちゃんとのふれあいにより常にオキシトシンが高い状態にあり、夫に対する不快感や不満が増幅されるため、夫にイライラを感じやすい。
  • 夫が積極的に育児に協力したり、妻に優しくすると、オキシトシンの働きにより妻の夫に対する愛情も増幅される。

子育て中の妻が夫にイライラを感じやすいのはオキシトシンの働きによるものであり、お母さん個人のせいではありません。

「今日も夫にイライラして八つ当たりしてしまった…」と自己嫌悪に陥るのではなく、夫にオキシトシンについて説明し、今の自分の状態について理解してもらいましょう。

状況はすぐには変わらなくても、夫が理解し、自分の気持ちに寄り添ってくれると感じるだけでも、気持ちが少し楽になるのではないでしょうか。

また、お父さんに対しては、出産前後の妻の劇的な変化におどろき、戸惑うことも多いかと思いますが、妻の心とからだの中で起きていることをきちんと理解し、できることから行動してみましょう。

夫が自分の気持ちを理解しようとしてくれていると感じられるだけでも、妻の気持ちは大きく変わってくると思います。

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<その他参考文献>
側坐核ーWikipedia

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